計算力学技術者とは

コンピュータの高性能化・低価格化と64ビットOSの普及により,卓上PCで動く高性能な解析ソフトが手軽に利用できる環境が整ってきました。これに伴い解析ソフトユーザが拡大し,特に初心者層の増加にめざましいものがあります。そして,解析ソフトのユーザインターフェイスが進歩し,そして解析結果の表示のためのソフトとハードの進歩した結果,一見もっともらしい解析結果が容易に得られるようになりました。

しかしここには,解析ソフトをブラックボックスとして扱っている危険性をはらんでいます。例えば,入力する材料定数の単位系の間違い,境界条件の設定間違い,不適切な要素分割,間違った解析アルゴリズムの選択などにより,きれいなコンタ図でありながら実は的外れの結果が得られ,それが流通する危険性があります。不適切な解析結果が設計に採用されてしまうと,機械や設備の性能不具合や安全性を脅かす重大な事態につながります。

このような事態を防止し解析結果の品質を担保するためには,解析ソフトウェアの品質確保に加えて,計算力学技術者の力量管理が大変に重要です。この力量を有していることを示す証として計算力学技術者資格制度があります。

計算力学者には,固体力学分野,熱流体力学分野,振動分野があり,各分野には,初級,2級,1級,上級アナリストがあります。上級アナリストは最上級の資格で,受験資格は「7年以上の解析実務経験を有し,かつ1級資格を有すること」で,認定技術レベルは「固体力学の有限要素法解析に関して,理論及び実務の両面において幅広く深い知識と解析経験を有し,さらにCAE解析プロジェクトを企画・マネジメントできるとともに,高い倫理観を持ち,顧客や社会に対してプレゼンテーションできる」とされています。

2018年のデータとなりますが,累計合格者数は,2級が5221名,1級が2129名,上級アナリストが100名とのことです。

日本機械学会 計算力学技術者資格認定事業のページ